岡本甲状腺クリニック

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病気について

亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎は、発熱とともに甲状腺のある首の前面が痛くなる病気です。甲状腺は固く腫れ、押すと強い痛みを感じます。炎症により甲状腺が破壊され、蓄えられていた甲状腺ホルモンが漏れ出て、血液中の甲状腺ホルモンが高くなります。発熱や甲状腺ホルモン過剰により全身倦怠感、動悸、体重減少などの全身的な症状が現れます。甲状腺の痛みの場所は、はじめは左右どちらか片方だったのが反対側に移ったり、両側に広がることもしばしば見られます。甲状腺の炎症に先立って風邪症状が見られることがあり、治りにくい風邪としてなかなか正しい診断にたどり着きにくい病気です。30~40歳代の女性がかかりやすく、原因としてウイルス感染との関連性が疑われていますが、正確な原因は不明です。他の人に伝染することはありません。

■診断

典型的な場合は、病気の経過と甲状腺の触診でほぼ診断できますが、症状や炎症の程度は個人差が大きく、ほとんど自覚症状のない方もあり、検査によって診断を確定します。検査として、超音波検査で甲状腺が腫れて、炎症による暗い影ができているかどうか、血液検査で甲状腺ホルモンが上昇し、炎症反応のCRPが高くなっているかどうかを確認します。炎症がごく軽度で前述の検査ではっきりしない場合は細胞診検査を行うこともあります。

■治療と経過

亜急性甲状腺炎はゆっくりと自然に治っていく病気ですが、著しい苦痛を伴うことも多く、通常は副腎皮質ステロイド薬(プレドニゾロン)を服用します。服薬により症状は数日以内に劇的に軽くなります。ごく軽症の場合や、副腎皮質ステロイド薬を使用すると悪化する可能性のある他の病気を持っている方の場合は、代わりに非ステロイド性抗炎症薬(ロキソプロフェンナトリウムなど)を使用することもあります。副腎皮質ステロイド薬は、はじめに多めの量で開始し、症状や甲状腺の炎症が改善しているかどうか確認しながら2週間程度ごとに服用量を減らします。減量途中で炎症が再び強くなることもあり、その場合は服用量を元の量に戻します。症状がなくなったからといって、治療途中で服薬を中断すると炎症が元の悪い状態に戻ってしまいますので、担当医の指示通りに服薬を継続してください。

■甲状腺ホルモンの異常はどうなる?

甲状腺ホルモンは、はじめは高くなりますが、経過とともに正常に戻ります。

■数か月で治り、通院も不要になる病気です

炎症が治まっているのを確認して、服薬を終了します。服薬終了後は再燃がなく、甲状腺機能も正常に戻っていれば通院終了となります。治療期間は個人差がありますが、少なくとも3か月程度はかかります。完全に治ると、再発することの少ない病気であり、長期間の経過観察は不要です。

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