Q3 甲状腺の良性腫瘍と診断され、経過観察を受けています。腫瘍が大きくなってきましたが、どうすればよいでしょうか?

A3 診断時に細胞診で鑑別困難(クラス 3)と判定された腫瘍の場合は、明らかに大きくなっており、再度行った細胞診でも鑑別困難の判定であれば手術をしておいたほうがよいでしょう。

[解説]

良性腫瘍と判断されるしこりのうち、のう胞や腺腫様甲状腺腫などでは、中にたまっている液の量が増えるためにサイズが大きくなることがあり、この場合は問題ありません。また、腺腫様甲状腺腫の診断がまず間違いないような場合は、細胞の部分が大きくなってきても問題ないことが多いでしょう。

Q2で解説したように細胞診で鑑別困難(クラス 3)と判定された腫瘍については、濾胞がんの可能性が否定できませんので、再評価が必要です。大きくなることは悪性であることを示しているわけではありませんが、腫瘍が明らかに大きくなっており、再度行った細胞診でも鑑別困難の判定であれば手術をしておいたほうが無難でしょう。

Q4 良性腫瘍が悪性腫瘍に変わることはあるのでしょうか?

A2 良性から悪性に変わることはまずないと考えられています。

[解説]

良性から悪性に変わることはまずないと考えられています。しかし、Q2で説明したように、診断の時点で良性と断定できない腫瘍が多く、良性の可能性が高いと判断して経過を観察しているうちに、悪性であることがはっきりしてくる場合があります。これは良性から悪性に変わったのではなく、はじめから悪性であったが診断が困難であったということです。

Q5 甲状腺にしこりができて、腺腫様甲状腺腫(せんしゅようこうじょうせんしゅ)と診断されました。どんな病気ですか?

A5 甲状腺にいくつも結節(しこり、こぶ)ができる病気です。

[解説]

できている結節の多くは厳密な意味での腫瘍ではなく、過形成と呼ばれるものです(ただ、実際の診療では腫瘍と過形成の区別はあまり明確なものではありません)。結節ひとつひとつを腺腫様結節、複数個の腺腫様結節をまとめてひとつの病気として腺腫様甲状腺腫と呼んでいますが、厳密に区別しているわけではありません。通常は特に症状は無く、よほど大きくならない限り、声がかすれたり、ものを飲み込みにくくなる原因にはなりません。

良性の病気で基本的には治療をせずに経過を見ることになりますが、次の点に注意が必要です。

  • 複数個ある結節すべてが良性とは限らず、一部ががんである場合があるので、ひとつひとつの結節を超音波検査で注意深く観察します。がんの疑いのある結節は細胞検査でさらに詳しく調べます。
  • 数%の方で甲状腺ホルモンが出過ぎる(甲状腺機能亢進症)ことがあります。この場合は甲状腺機能亢進症の治療のためにアイソトープ治療や手術をおこないます。
  • 逆に甲状腺ホルモンの分泌が少なくなる(甲状腺機能低下症)こともあります。この場合は甲状腺ホルモン剤の内服により甲状腺機能を正常化します。
  • 非常に大きくなって圧迫症状がでることがあります。この場合は手術を検討します。

がんの合併や甲状腺機能に異常がなければ心配ありません。年に1-2回、変化の有無を超音波検査と血液検査で確認します。また、結節を小さくする、あるいは大きくなるのを防ぐために甲状腺ホルモン剤を内服することがあります。

以下に該当するの場合は手術が必要です。

  • がんを合併しているとき
  • 甲状腺ホルモンの分泌が過剰になったとき(最近はアイソトープ治療が主流)
  • 甲状腺腫が大きくなって胸郭の中まで入ってきたときや、気管や食道などの周囲組織への圧迫症状が出たとき
  • 美容的な意味で甲状腺腫が目立つ場合