Q9 抗甲状腺薬が無顆粒球症や重症の肝障害などの重大な副作用で使えなくなりました。どうすればよいでしょうか?

A9 アイソトープ治療か手術による治療を行います。

[解説]
抗甲状腺薬が副作用のために使えなくなった場合は、アイソトープ治療か手術による治療を行います。それぞれの長所と短所を念頭において、いずれかの治療法を選択します。

抗甲状腺薬の副作用が原因でこれらの治療を行う場合は、特別の注意が必要です。手術の場合は手術前に抗甲状腺薬を使用せずに甲状腺機能のコントロールをどのように行うのか、アイソトープ治療の場合は治療後に甲状腺機能亢進症が一時的にかえって悪化した場合にどのように対応するのかを考えておく必要があります。

甲状腺の腫れが大きい場合はアイソトープ治療が効きにくいことに加えて、アイソトープ治療後に甲状腺機能亢進症が悪化する可能性が高いので手術を選びます。甲状腺機能亢進症が非常に強い場合や、それに加えて合併症(甲状腺以外の病気)がある場合もアイソトープ治療後に極めて重症の甲状腺機能亢進症に陥る危険性がありますのでアイソトープ治療は避けるべきです。

これらに当てはまらないバセドウ病では、アイソトープ治療で問題ありません。いずれの治療法を選んだ場合も、再発しないようにあえて甲状腺機能低下症を目標にした治療を行います。

Q14 抗甲状腺薬の服用を開始してから、髪の毛がよく抜けるようになりました。副作用でしょうか?

A14 ほとんどの場合、副作用ではありません。

[解説]
治療を開始して甲状腺機能が正常化し始めた頃に、髪の毛がよく抜ける場合があります。髪をとかしたり、洗髪した時にたくさん抜けるといった症状です。甲状腺ホルモンの過剰な状態から正常に戻ることによる一時的な現象です。しばらくすると、過度の抜け毛はおさまります。もちろん慎重に経過をみてゆく必要はありますが、抗甲状腺薬はそのまま続けてください。

Q18 抗甲状腺薬を内服しながら出産しました。母乳で育ててよいでしょうか?

A18 プロパジール、チウラジールの場合は1日6錠またはそれ以下、メルカゾールの場合は1日2錠またはそれ以下の内服量であれば母乳で育てても乳児に影響はありません。

[解説]
抗甲状腺薬を内服しながら母乳で育てる場合の問題は、抗甲状腺薬が母乳にも入っていくのかどうか、入るとすればどの程度の量であれば、乳児の甲状腺機能に影響を与えないかです。メルカゾールもプロパジール、チウラジールともに母親の血液から母乳に入ってゆきます。そして、メルカゾールの場合は母乳中の濃度は血液中の濃度とほぼ同じです。一方、プロパジール、チウラジールは母乳中の濃度は血液中の濃度の10分の1とかなり低くなります。

乳児の甲状腺機能への影響を考慮すると、プロパジール、チウラジールの場合は1日6錠またはそれ以下、メルカゾールの場合は1日2錠またはそれ以下の内服量であれば母乳で育てても乳児の甲状腺機能に影響はありません。また、抗甲状腺薬を服用して6時間程度経過すると母乳中の濃度はかなり低くなりますので、メルカゾールを1回3錠以上内服しなければならない場合も、服用してから6 – 8時間あければ母乳を与えても問題ありません。

Q20 バセドウ病と診断され、抗甲状腺薬を内服することになりました。副作用はどれくらいの頻度でみられますか?

A20 メルカゾールよりもプロパジールの方が副作用の頻度が高く、またメルカゾールにおいては服用量の多いほうが副作用の頻度が高くなります。

[解説]
日本甲状腺学会「パセドウ病薬物治療のガイドライン2006」ワーキンググループが発表した抗甲状腺薬の副作用頻度を元に作成したグラフを掲載します。

抗甲状腺薬の副作用頻度