Q12 バセドウ病のアイソトープ治療とはどんな治療ですか?

A12 甲状腺ホルモンの材料であるヨードに放射線を出す性質を持たせ、それを内服することにより甲状腺組織を破壊し、甲状腺ホルモンを作る場所を少なくする治療です。この放射線を出す性質を持った物質をラジオアイソトープといい、そこからアイソトープ治療と呼んでいます。

[解説]
甲状腺ホルモンが甲状腺で作られる時の材料の一つとして、のりや昆布などに含まれるヨード(ヨウ素)が利用されます。食事中のヨードは吸収された後、甲状腺に取り込まれます。この性質を利用して放射線を出す性質を持たせたヨードを内服することにより、甲状腺組織を放射線によって破壊し、甲状腺ホルモンを作る場所を少なくするのがアイソトープ治療です。正確には放射性ヨード内用療法と言います。

治療に使用するのはヨウ素131という種類のラジオアイソトープで、カプセルに入っています。内服した放射性ヨードはすぐに腸から吸収され、血液中を運ばれ、活動性のバセドウ病では40 – 80%が甲状腺に吸収されます。吸収されなかった放射性ヨードのほとんどは尿に出てゆきます。また、ごくわずかですが汗や唾液からも出ます。

ヨウ素131はベータ線とガンマ線という2種類の放射線を出し、ベータ線が甲状腺ホルモンを合成する細胞を破壊する作用を持っています。ベータ線の届く距離はわずか2 mmですので、肺や脳、卵巣や精巣などの重要な臓器に甲状腺からベータ線が届くことはありません。

また、甲状腺に吸収されたヨウ素131はしだいに壊れて放射線を出す能力を失ってゆきます。甲状腺の状態によって差はありますが、約6日で放射線を出す能力は半分くらいになり、次の6日でさらにその半分と減ってゆきますので、放射線がいつまでも体内で出続けることはありません。

ベータ線の当たった甲状腺の細胞はやがて壊れて死んでゆきます。そして、甲状腺ホルモンをつくる細胞の全体数が少なくなり、甲状腺機能亢進症が治ってゆきます。

Q13 アイソトープ治療でバセドウ病は治りますか?

A13 十分な量の放射性ヨードを内服すれば、甲状腺機能亢進症は必ず治ります。しかし、多くの方はやがて甲状腺機能低下症になります。アイソトープ治療後の甲状腺機能低下症に対しては、甲状腺ホルモン剤を一定量内服することで、甲状腺機能は安定して正常を維持することができます。

[解説]
十分な量の放射性ヨードを内服すれば甲状腺機能亢進症は必ず治ります。しかし、甲状腺機能が正常になって、薬を内服する必要もなく、通院も必要なくなるという意味ではありません。できるだけ甲状腺機能を正常にしたいのは当然なのですが、アイソトープ治療では甲状腺機能を正常にするのにちょうど良い放射性ヨードの量を決めるのが難しいのです。

同じ程度の甲状腺機能亢進症で、同じくらいの大きさの甲状腺であっても、ひとりずつ放射線の効きが違うのです。効きすぎると過剰に甲状腺が破壊されて甲状腺機能低下症になります。一方、予想よりも効きが弱いと甲状腺の破壊が不十分で、甲状腺機能亢進症の状態が続き、抗甲状腺薬がやめられなかったり、2回目のアイソトープ治療が必要になります。

最近は、たとえ治療後に甲状腺機能機能低下症になっても十分な量の放射性ヨードを内服して、甲状腺機能亢進症を確実に治す方が良いという考えが主流になっています。

アイソトープ治療で甲状腺機能低下症になると、それは生涯持続しますので、生涯にわたって甲状腺ホルモン剤の内服が必要になります。治療後の甲状腺機能低下症は病状としては極めて安定しており、甲状腺ホルモン剤を一定量内服することで、甲状腺機能は安定して正常を維持することができます。