Q6 甲状腺機能正常の橋本病で甲状腺ホルモン剤は内服していません。妊娠を望んでいますが、なにか問題はありますか?

A6 甲状腺機能が正常であれば不妊の原因にはなりません。一般の妊婦に比べて流産や早産がわずかに多いとの報告がありますが、妊娠中に甲状腺ホルモンが不足する状態にならないように、注意深く経過観察を行えばまず問題はありません。

まず、甲状腺機能正常の橋本病であることは、不妊の原因にはならないと考えられています。しかし、一般の妊婦に比べて流産や早産がわずかに多いとの報告があります。橋本病の原因である自己免疫が、胎児や母体の胎盤機能に何らかの影響をおよぼしているのではと考えられています。

橋本病に限らず、妊娠中の甲状腺機能低下症は流死産のリスクとなります。そして、橋本病の女性は妊娠前に甲状腺機能が正常であっても、妊娠中に甲状腺機能が低下しやすいことが知られています。したがって、橋本病の女性においては甲状腺機能正常であっても、妊娠した時は早い時期に甲状腺機能の再評価を受けてください。その際、妊娠中の甲状腺機能の評価は非妊娠時と異なる点に注意が必要です。妊娠中は非妊娠時よりもTSHは低くなる傾向があります。妊娠可能な年齢の女性の非妊娠時のTSHの正常範囲は0.5 – 3.5μU/mLくらいですが、妊娠前期ではTSH上限値は 2.5~3.0μU/mL以下、妊娠中・後期では3.0~3.5μU/mL以下が正常の上限と考えられています。妊娠中のTSHが2.5を超えているようであれば、甲状腺ホルモン剤を内服して2.5以下にしておくと安心できます。また、体外受精や顕微授精といった生殖補助医療を受ける予定の女性においては、不妊治療によりTSHが高くなる傾向がありますので、TSHが2.5μU/mLを超えている場合は、妊娠に備えてあらかじめ妊娠前から甲状腺ホルモン剤を内服して、TSH 2.5以下にしておくとより安心できます。

妊娠中の食生活に関してですが、過剰なヨード゙を摂取すると甲状腺機能低下症の起こる可能性があり、胎児にも悪影響をおよぼしますので、過剰なヨード゙摂取は控えましょう。
最後に、橋本病を持っていることで子どもに奇形の発生率が高いということはありませんので安心してください。