Q22 バセドウ病と診断されて抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)を飲み始めました。どんな薬でしょうか?

A22 バセドウ病などの甲状腺ホルモンを過剰に合成・分泌する甲状腺機能亢進症の治療に使われる薬です。甲状腺ホルモンの合成を抑えることで、血液中の甲状腺ホルモン濃度を正常に戻します。3種類の抗甲状腺薬がありますが、プロパジールとチウラジールは製造・販売会社が異なるために名前が違うだけで薬としては同じものです。なお、メルカゾールは1錠5mg、プロパジールとチウラジールは1錠50mgと薬の分量が10倍異なりますが、1錠の効き目はプロパジール、チウラジールの方がメルカゾールよりも弱い傾向があります。

[解説]
1) 効果が現れるまでの期間
抗甲状腺薬の内服を開始して動悸が無くなってきた、体が楽になってきたと感じるまでの期間は早い方でも2 – 3週間かかります。甲状腺が大きくて重症の方では2か月以上かかることもあります。作用の仕組みで説明しましたように、甲状腺機能亢進症によって過剰に作られた甲状腺ホルモンは多量に濾胞腔に蓄えられています。抗甲状腺薬の内服を開始して甲状腺ホルモンの合成が抑えられても、それまでに蓄えられている甲状腺ホルモンが血液中に分泌され続けますので、内服開始後も血液中の甲状腺ホルモンはすぐには減ってこないのです。蓄えられていた甲状腺ホルモンが少なくなってはじめて、血液中の甲状腺ホルモンも減ってきます。

2) 内服する量の調節
抗甲状腺薬は一般の薬と違って特殊な使い方をします。高血圧症や高コレステロール血症などに使われる一般的な薬は少量から始めて効き目を見ながら少しずつ増やしてゆきます。徐々に増やして調度良い量を見つけるのは比較的簡単で、どの医師にかかっても問題なく治療を受けることができます。ところが抗甲状腺薬は始めに大量を内服し、ある程度甲状腺ホルモンが下がってきたら徐々に量を減らすという使い方をします。メルカゾールは3錠(重症の方は6錠)、プロパジールとチウラジールは6錠から治療を開始するのが一般的です。いずれの薬も6錠以上使ってはいけないということではなく、効果が不十分な場合にはもっと量を増やすこともあります。順調に経過すれば、一日おきに1錠の内服量まで徐々に減量し、落ち着いていれば投薬を終了します。

3) 副作用
抗甲状腺薬は比較的副作用の多い薬です。なかには生命に関わるものもありますので、見逃さないようにしなければなりません。通常は内服を開始して2 – 3か月以内に起こることがほとんどで、長期間内服することによる副作用は、プロパジール、チウラジールによる血管炎を除いてまずありません。抗甲状腺薬の内服開始後のはじめの2 – 3か月間は2 – 3週間ごとに副作用が出ていないかどうか血液検査を受けてください。メルカゾールからプロパジール、チウラジールに変更した場合、あるいはその逆の場合も、あらためて変更後の2 – 3か月間は同じように副作用のチェックを受けてください。また、病気が治まって長期間内服を止めていた後、再発のために抗甲状腺薬を再開した場合は、たとえ以前と同じ薬であっても同様に副作用のチェックが必要です。