Q17 眼瞼後退(まぶたがつり上がって眼が見開いたようになる)を治すことはできますか?

A17 交感神経の緊張による眼瞼後退は甲状腺機能が良くなれば多くの場合改善します。良くならない場合は、効果はそれ程はっきりしませんが交感神経の緊張を和らげる点眼薬を試してみてもよいでしょう。また、保険適応にはなっていませんが、ボトックスという薬剤をまぶたの筋肉に注射する方法もあります。自己免疫による炎症で起きている眼瞼後退の場合は手術で目立たなくすることができます。

[解説]
交感神経が緊張して、ミューラー筋に異常な収縮が起こることによる眼瞼後退は甲状腺機能が良くなれば多くの場合改善します。しかし、甲状腺機能が正常化してもこのミューラー筋の緊張状態が取れないことがあります。このような場合、交感神経の緊張をとるイスメリン点眼薬を用いてかなり有効な場合がありましたが、現在この点眼薬は使用できません。同様の作用を持った代わりの点眼薬を使用することもありますが、イスメリン点眼薬ほどの効果はありません。これに代わる治療として、まぶたの筋肉にボトックスという薬剤を注射する方法があります。ボトックスは美容整形でもしわ取りの治療に使用されるので名前を聞いたことのある方もあるでしょう。ボトックスは筋肉の動きをコントロールしている神経に働きかけて、筋肉を麻痺させる作用があります。この作用によってまぶたの筋肉の緊張が緩んで眼瞼後退が良くなります。注射後3から4か月で効果は薄れてゆきますので、眼瞼後退が再び強くなる場合は繰り返し注射を行う必要があります。バセドウ病の眼瞼後退には保険適応になっていませんので、実施している医療機関は限られています。

眼瞼後退には、この交感神経緊張によるもののほかに、自己免疫による上眼瞼挙筋の炎症、収縮で起こるものがあります。ステロイドパルス療法を行ってみることもありますが、有効な場合は少なく、手術による治療で改善をはかります。上眼瞼挙筋の腱とミューラー筋をそれぞれ横方向に2本、段違いに中央を越える長さで切れ目を入れて、上眼筋挙筋とミューラー筋を伸ばします。皮膚は上まぶたのふちから切開しますので、傷跡は目立ちません。